辻村深月さんの「スロウハイツの神様」の下巻を先日読み終えました。
辻村深月さんの著作で初めて読んだのは「かがみの孤城」でした。
図書館で本を借りるようになって、当初は元々好きだった東野圭吾さんの本で未読の物を1冊ずつ読み進めていっていたのですが、
しばらく続くと別の作家さんの本も読みたくなり、かといって誰というのが浮かばず
図書館の貸し出しラインキングをチェックして初めて辻村深月さんという作家さんを知りました。
あらすじも口コミもまったくチェックせず、ただランキング上位にあったので借りたのですが
読み始めてみたら主人公が小学生か中学生くらい(うろ覚え)の子供たちで、
表紙もアニメタッチだったので「子供向けだったのか?」と思ったのですが
まったくそんなことはなく、号泣して終わりました。
この「かがみの孤城」を読んだ時に、
「この作家さんはびっくりするくらい”昔確かに感じた気持ち”を言い表している」と思いました。
いつ、どんな場面でとまでは思い出しはしないものの、間違いなく自分も感じたことがあった
友達に対する思いだとか、何等かの出来事に対する感情だとか、具体的に言葉にして思い浮かべたことはないけれど
”確かに感じたことがある”気持ちの描写がいくつか出て来て、驚いたし、
みるみるうちに小説の中に取り込まれるような感覚がありました。
その後何冊か辻村さんの作品を読み、今回の「スロウハイツの神様」にたどり着いたのですが
この本もやはり感情の描写がリアルで、登場人物に乗り移ってしまいそうになりました。
下巻の最後の1/5くらいまではキャラクター設定の濃い登場人物たちの描写をただ楽しんでいたのですが
最後の1/5で一気に驚き、泣きました。
勘の良いかたなら驚くこともなく、だから泣くこともないのかもしれませんが
私は鈍くて想像力も足りないので、「そういうことだったのか」の連続。
人が人を想う、いろんな気持ちが温度を持って伝わってくるようで、とても胸に刺さる作品でした。
最後は外出先のカフェで一人で読んでいたのですが、久しぶりに外で涙を堪えられない作品に出会えました。
さて次は何を読もうかな。