ろくログ

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【ブックレビュー】戌井昭人:「壷の中にはなにもない」

先日読んだ「遮光」がなかなかに気持ち悪さの残る小説だったので

何かちょっと面白くて軽~く読める本がいいな、と今回読んだのは

戌井昭人さんの「壷の中にはなにもない」です。

 

 

 

戌井昭人さんという作家さんも存じ上げず、これもtaknalというアプリで紹介を見て

その場で図書館で調べて蔵書があったので借りたものです。

 

この本の紹介はこんな内容でした。

 

破天荒な陶芸家の祖父との交流と、26歳にして訪れた初恋に、笑って、笑って、少ししんみりして、そして心が温まる。疾走感溢れる筆致でユーモラスに描く、鬼才・戌井昭人の真骨頂にして新境地を拓く、至極の長篇大衆小説。

 

 

”笑って、笑って、少ししんみりして、そして心が温まる” これです、これ。

「遮光」の後にぴったり。

 

 

読んでみると、登場人物の会話が多く、とてもテンポよくすぅっと物語に入っていける感じがします。

 

主人公やその祖父といった主な登場人物たちの個性が豊かで、

マイペースでミスばかり、役立たずと評される主人公もなんだか可愛く

こういう人いるよなぁ、あの人も実はよく知ればこんな可愛さがあるのかなぁ、

こんな人が周りにいたら、自分の毒気が抜けそうだなぁ・・

などと思いながら読み進めました。

 

 

外で本を読んでいて、「ふふっ」という笑いを堪えられなかったのは久しぶり。

カフェで一人、何度か笑ってしまいました。

マスクをしていたのでこの程度の笑いなら隠せるので、マスク生活も悪くないですね。

 

大笑いでもないし、大感動でもないですが、ちょこちょこ笑い、

そしてほっこりさせてくれる、そんなお話しです。

 

 

長編小説とありますが、会話が多いからかあっという間に読み終わります。

軽~く、ちょっと面白い感じで何か読みたいという時におすすめします。

 

 

文章のタッチや人物の描き方がとても好きだなと思いましたので、

他の戌井昭人さんの作品も読んでみたいです。