taknalで出会った本、「さよならドビュッシー」を読みました。
中山七里さんという作家さんは存じ上げず、今回初めて読みましたが、読み終わって最後の作者紹介のところを何気なく見たら「現在は会社員」とありました。驚き。
(調べたところ、その後専業作家さんになられたようですが。)
この本はタイトルからもわかるようにピアノの描写が多く、芸術作品などを扱う小説では多く見られることですが、その芸術性、美しさやすばらしさを文字で表現するために言葉もとても芸術的というか、普段は使わないような言葉、同じ意味でも見たことのない漢字が使われることが多いように思います。
それを、半分会社員であった方が書いたなんてやっぱり驚き。
語彙の多さや言葉のセンスにまず敬服します。
なんでこの作品を読んでみることにしたのか、考えてみるとわたしはそういえばピアノや芸術作品を題材にした小説が好きなようです。
まったくその方面に明るいわけではないのですが、誰でも知っているような作品や芸術家にまつわるエピソードを交えて展開されるお話しに面白みを感じます。
漫画ですが「のだめカンタービレ」も大好きだったし、小説では「蜜蜂と遠雷」もすごく好きです。
どの作品も、文字で読んでいるだけなのにピアノが聞こえてきそうな描写、ピアノを弾くピアニストの手元や背中が見えそうな迫真の語りに引き込まれ、ドキドキしながら読むのが面白い。
さて、そんな「さよならドビュッシー」の、taknalに載っていた作品紹介はこんな内容でした。
ピアニストからも絶賛!ドビュッシーの調べにのせて贈る、音楽とミステリー。ピアニストを目指す遥、16歳。祖父と従姉妹とともに火事に遭い、ひとりだけ生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負う。それでもピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生するー。第8回『このミス』大賞受賞作品。
この作品はミステリー小説なのです。
ピアノの描写のすばらしさも去ることながら、ミステリーとしての展開も目を見張るものがあり、最後の大どんでん返しには驚きました。
現実離れした部分もありますが、作品への没入を阻害するほどのものではなく、最初から最後まで面白く読み切れました。
この作品、どうやら「岬洋介シリーズ」として他にも何作もあるようなので、他シリーズも含めて中山七里さん作品をもっと読んでみたいと思います。
そんなわけで語彙が多彩な作品でしたので初めて聞く言葉、見る漢字、いろいろとありました。
一部ですが
- 吝か(やぶさか)
”やぶさか”ってこういう漢字だったんですね。 - 艱難辛苦(かんなんしんく)
字面で意味は想像つきますが、”艱”の字を初めて見ました。 - 浅薄(せんばく)
これも文字で意味はわかりますが、使ったことのない単語でした。 - 陥穽(かんせい)
おとしあな。また、人をだましたり失敗させたりするための計略。わな。はかりごと。 - 斃れる(たおれる)
事故や事件、または不意の出来事などで死ぬこと、殺されること。
などなど。
日本語、難しいなぁ。
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