「暗幕のゲルニカ」がすごく面白かったので、
原田マハさんの別の作品も読みたくなり、今回選んだのは「奇跡の人」です。
図書館の原田マハさんコーナーに並んだ本から、
タイトルだけで「これがいいかな」と選んだ本です。
ですので今回はあらすじも何も知らずに手に取りましたが、
今調べたあらすじはこんな内容でした。
旧幕臣の娘である去場安は、岩倉使節団の留学生として渡米した。帰国後、日本にも女子教育を広めたいと理想に燃える安のもとに、伊藤博文から手紙が届く。「盲目で、耳が聞こえず、口も利けない少女」が青森県弘前の名家にいるという。明治二十年、教育係として招かれた安はその少女、介良れんに出会った。使用人たちに「けものの子」のように扱われ、暗い蔵に閉じ込められていたが、れんは強烈な光を放っていた。彼女に眠っている才能をなんとしても開花させたい。使命感に駆られた安は「最初の授業」を行う。ふたりの長い闘いが始まったー。
このあらすじを先に読んでいたら、
きっとまっさきに「ヘレンケラー?」と思ったと思います。
子供の頃に読んだ「ヘレンケラー」はうろ覚えですが・・・
読み始めてみると、舞台は現在(昭和)と過去(明治)の青森で、
全編にわたって津軽弁の応酬でした。
いつも新たに本を読むときそうなのですが、
どんな時代で、どんな主人公で、どんな場所での話なのか
理解して、気持ちが馴染んで、自分をその場面に連れていくというか、
小説に入り込むのに、わたしはその本の1/4くらいは読み進める必要があります。
その前半部分で躓いてしまうとなかなか先へ進めなかったりするのですが、
時代が古かったり舞台が外国だったりするとその傾向がやや高まります。
「奇跡の人」は時代もやや古く、外国ではないものの舞台が青森、
馴染みのない言葉も多くて自分としては躓きやすい傾向の作品でした。
が、少し読み進めるとすぐに作品の中に入っていける感じ、
これが原田マハさんの小説の凄さかと、2作目も体感しました。
安とれんの奮闘の日々に、もどかしさを感じながらも応援し、
もし自分が安だったらどうするかと考えながら
れんが一歩前に進めば感動し、後退すれば気落ちして
気がつけば自分もれんの成長を祈るようになっています。
丁寧に描かれる安とれんの日々ですが、
後半に自分としてはやや腑に落ちないシーンがありました。
また、もう少しだけ安とれんのその後を見せてほしかったな、という気も。
でもその辺りを描き過ぎないのもまた小説には重要な手法なのかもしれません。
全体としては臨場感溢れる描写と感動の多い作品でした。
過去に美術関連のお仕事もされていた原田さんならではの作品、
他にも美術に関するお話が多いのだろうな、と思っていたところに
2作目に読んだ作品がまったく畑の違うお話で、良い驚きでした。
これは、続けて3作目も読んでみたいところです。
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