ろくログ

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【ブックレビュー】中村文則:「遮光」

先日ご紹介したtaknalというアプリで出会った本を読んでみました。

 

中村文則さんの「遮光」という小説です。

 

 

 

中村文則さんという作家さんを存じ上げず、今回初めて読みました。

 

taknalで読んだあらすじはこんな内容でした。

 

恋人の美紀の事故死を周囲に隠しながら、彼女は今でも生きていると、その幸福を語り続ける男。彼の手元には、黒いビニールに包まれた謎の瓶があったー。それは純愛か、狂気か。喪失感と行き場のない怒りに覆われた青春を、悲しみに抵抗する「虚言癖」の青年のうちに描き、圧倒的な衝撃と称賛を集めた野間文芸新人賞受賞作。若き芥川賞大江健三郎賞受賞作家の初期決定的代表作。

 

この本をおすすめしてくださった見知らぬどなたかのコメントはたった一言、

 

中村文則読んで」

 

でした。

 

 

ちょっと怖そうと思いつつ、「瓶」の中身がにわかに気になり、先日読んでみました。

 

まず驚いたのはその本の薄さ。

 

え、これだけ? と思いました。

 

こんな薄さで起承転結繰り広げられるのだろうか。

 

 

読み始めると、「瓶」の中身は割と早い段階で読者に明かされ、

その後は中身を知った上で、”彼”の取る行動を見つめることになるのですが・・

 

 

あらすじにもある通り虚言癖と思われる”彼”の、

いろんな嘘をつく自分を外側から見ているような感じ、

「・・・している自分を演じているのかもしれない」と何度も”彼”は言い、

その感覚は自分にも経験があるような気がするのでわからなくはないものの、

読んでいて”本当の彼”が見えない気持ち悪さのようなものが付き纏いました。

 

 

登場人物のすべてに嫌悪感を抱くのも珍しく、

読み終えた感想は率直に言って「気持ち悪い」でした。

 

読むに耐えないほどのグロテスクさとか凶悪さとかそういうわけではないのですが

最初から最後までずっと気持ち悪い感じが続く、私にとってはそんな小説でした。

 

これが、taknalでおすすめされた方がコメントされていた「中村文則」さんの文学なのでしょうね。

 

 

作品は賞を受賞して称賛を浴びたということですので、

当然に、こうした世界観を楽しむ、好む方もたくさんいらっしゃるんでしょうけど

私が中村文則さんの本を再び手にすることはないだろうな、と思います。

 

私は本を読んで、笑ったり、感動したり、驚いたり、スカッとしたりしたい。

そういうタイプの人にはおすすめできないかなと思いました。

でもこういう作家さんもいると知れたので、読んだことに後悔はありません。

 

さて次は何を読もうか。