以前一度読んだのに、完全に忘れてもう一度読んだ本です。
(こういうことがないようにビブリアに記録しているのに、「まだ読んでない」自信がありビブリアを確認せずに借りました。)
一度目に読んだ時はブログ記事にしていなかったので、今回は記録しようと思います。
凪良ゆうさんの、「流浪の月」。
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少し前に本屋さんを歩いていたら「話題の本」みたいなコーナーに紹介されていたので、新刊だと思い込んだことが「まだ読んでない」自信へと繋がりました。
(図書館で借りて読んでいるので、そんなに新しい本がすぐには読めないと思った次第。)
さきほどググって見たら2022年5月に映画化されていたようで、それが関係あるかないかわかりませんが、本屋さんでピックアップされる本は何も新刊ばかりではないんだなと学びました。
さておき。
一度目に読んだ時よりも、二度目の方が面白く(「面白い」というのはちょっと違う気がするんすけど、他に表現が出て来ない)、感じるものが多かったように思いました。
あらすじはこんな風に紹介されています。
【2020年本屋大賞ノミネート作品】
あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。
それでも文、わたしはあなたのそばにいたい―。
再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。
新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。
登場人物たちの生い立ちや状況に思いを寄せればとても胸が苦しくなる場面の多い物語です。
現実に置き換えれば自分も主人公たちを取り巻く周囲の”正義”になっているであろうことを思うと、普段の言動を考えさせられる内容でもありました。
正義や優しさと自分では思い込んでしている言動が、実は誤解や決めつけであるかもしれない。
登場人物たちと自分に共通点は全然ないのですが、結婚せず、もちろん子供もなく、この先ひとりで生きていくことを選んだ身として、一人ぼっちな登場人物たちの考えにはっとするほど共感したりもしました。
「ひとりのほうがずっと楽に生きられる。それでも、やっぱりひとりは怖い。神さまはどうしてわたしたちをこんなふうに作ったんだろう。」
本当にそう。
ひとりは楽で、やっぱり怖い。
でもそんな登場人物たちも、辛い経験の繰り返しの中で得難い愛のようなものを確かに築いていく。
心身が痛むばかりの物語なのに面白みも感じられるのは、そんな愛が少しずつ形を成していくのが透けて見えるからかもしれません。
泣いたり笑ったりする物語ではないけれど、2回読んでもはっとさせられ、考えさせられ、最後はほんのり胸が温かくなる一冊でした。