ろくログ

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髙田 郁:「みをつくし料理帖」を読みました。

taknalで紹介されていた本なのですが、10冊+特別巻に渡るシリーズ小説で、間にちょこちょこ別の小説を読みながら一年近くかけて特別巻まで読み終えました。

 

髙田 郁さんの「みをつくし料理帖」です。

髙田さんの小説はこれが初めてです。

 

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わたしの苦手な時代小説だったのですが、1作目を読み始めてすぐに大好きになりました。

 

言葉遣い文化に当然ながら時代相応の違いがある(これがわたしが時代小説が苦手な理由)のに、それを感じないくらい読みやすくて、するすると物語が入ってきて情景が目に浮かびます。

 

登場人物たちがみんな一癖あったりしながらも愛おしい人ばかりで、そんな登場人物たちが織り成す愛情、友情、人情、いろんな人間の「」に触れることができます。

 

それぞれが色んな生い立ちや身分、事情、苦悩を抱えながらそれでも前向きにひたむきに生き、互いに振れ合い、助け合い、想い合う姿があたたかく、心に響く物語。

 

読んでいてとても素直でやさしい気持ちになれる、人が好きになるような作品です。

 

 

「料理帖」というタイトル通り、主人公である料理人の澪が心を尽くしてさまざまな料理をたくさんの人に供するのですが、冷蔵庫もオーブンもない時代、素朴な食材を使った庶民的な料理のはずなのに、出汁の香りがしてきそうなほど文字で読むだけでもどれもこれも美味しそうです。

 

各巻の巻末にその巻で登場した料理のレシピが載っているのも楽しかったです。

最初の2巻ほど、このレシピに気が付かずに返却してしまったので、もう一度借りてレシピも見直したいと思うほど。

 

 

作品名に1、2と番号が振られているわけではないので、いつも次作の作品名を調べて図書館で借りていました。

 

続編を調べる過程で過去に二度ドラマ化、2020年には映画化されていたことも知りました。

2017年の二度目のドラマ化では主演が黒木 華さんだったようで、わたしの澪のイメージにぴったりです。ドラマも見てみたい。

 

 

こうして1巻から並べてみると、各巻のタイトルもそれぞれ素敵だなぁと思います。

 

澪たちの暮らしや料理を通して季節の移ろい、その季節ごとの変化行事文化にも触れることができ、日本人が、日本の暮らしが、好ましく思えてしまう作品でした。

 

 

 

 

粋だなぁ」と思う場面も多々あったのですが、最終巻「天の梯」を読み終えた時に「あれ、この巻だけ最後に何か折り込んである」と気づいて広げてみたら、料理番付表でした。

 

「みおつくし料理帖」を読んでみればこの番付表を眺めるだけで目が潤み笑みがこぼれてしまいます。最後の最後まで粋でした。

 

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これはtaknalで最終巻「天の梯 みをつくし料理帖」に出会ったときの紹介文。

 

一番好きな本。

料理がどれも美味しそう。

様々な困難が襲う中、真面目に精進する澪と周りの人々が好ましい。

これはシリーズ最終巻なので、読む場合は『八朔の雪』からどうぞ。

 

 

この紹介文通り、わたしも大好きな本になりました。

 

また時間を置いて読み返したいです。