ろくログ

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沼田 まほかる:「九月が永遠に続けば」を読みました。

Taknalで「彼女がその名を知らない鳥たち」という本がおすすめに出てきて、読んでみようと図書館に行ったら貸し出し中だったので、代わりに借りてきたのが今回の「九月が永遠に続けば」です。

 

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沼田まほかる”さんはお名前も存じ上げず、これまで作品を読んだことがありませんでしたので、あらすじも作風なども何も知らずに手に取りました。

 

後から確認した「九月が永遠に続けば」のあらすじはこんな内容です。

 

高校生の一人息子の失踪にはじまり、佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。息子の行方を必死に探すうちに見え隠れしてきた、雄一郎とその後妻の忌まわしい過去が、佐知子の恐怖を増幅する。悪夢のような時間の果てに、出口はあるのか――。人の心の底まで続く深い闇、その暗さと異様な美しさをあらわに描いて読書界を震撼させたサスペンス長編。

 

 

 

全体的に暗く重苦しく生々しく不安が立ち込めて、なんというかよく知らない人の汗ばんだ腕にうっかり触れてしまったような何とも言えない不快感さえ感じる物語でした。

 

くすりとも笑う箇所のない物語でしたが、登場人物たちの感情や思惑、それが身体や仕草に現れる様子などの表現がとてもリアルで、不安な気持ちに引きずられるようにページをめくる手が止まりませんでした。

 

最終的に、「え、どうなったの?」と気になる部分を残して幕を閉じた感がありましたが、すべてを語り切らないのも物語のひとつの余韻のようなものなのでしょうか。

 

 

本でも映画でもドラマでも、読む/観るたびに思いますが作家の方々はどうやってこんな物語や表現を思いつき、ひとつの作品に仕立て上げるんでしょう。

 

 

普通に生きていたらまず遭遇しない出来事、場面、感情、それをこうも具体的にリアルに表現する、、、稚拙ですが本当に すごい の一言です。

 

 

仕事で毎日のように書くメールもこのブログの文章も、現実のことであるのにわたしには同じような語彙を使ったありきたりな表現しかできません。

 

 

表現の勉強という意味でも、沼田まほかるさんの他の作品も読んでみたいと思いました。