ろくログ

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有吉 玉青:「南下せよと彼女は言う」を読みました。

シリーズで読み進めている本があるんですけど、続編を図書館で借りようと思ったら貸し出し中だったので、返却されるまで何か読もうと、なんとなく手に取ったのが今回の本、有吉 玉青さんの「南下せよと彼女は言う」です。

 

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「玉青」ってまずなんて読むの?

 

初めて読む作家さんでお名前も知らなかったのですが、「ありよし たまお」さんだそうです。

 

 

パラパラと本をめくってみるとヨーロッパの地図のイラストが入っていたので、旅行に絡めたお話しなのかなー程度に思い、なんとなく表紙が素敵で選びました。

 

 

読み始めてわたしが苦手な短編集であることに気が付いたのですが、せっかく借りたので読み進めます。

 

 

最初の数編が、浮気や不倫をしている男女のお話しだったので、「思ってたのと違う・・・」と思ったのですが、そこに注目するのではなくて、細やかに描写されるヨーロッパの街並み美術映画などを絡めた主人公たちの旅を追っていくと、目の前にヨーロッパの風景が広がるようで、あらすじにある通りやっぱり旅はいいなぁと思いました。

 

あらすじはこんな感じ。

 

情趣溢れる街並み、ふとした出会い、大切なひととの思い出、自分を見つめ直した夜…。旅の情緒と、旅先の人間模様が、心温まる描写とともに美しく繰り広げられる7編の物語。『本の窓』連載を大幅に改稿し単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】

 

欧州を舞台に綴られる旅の叙情あふれる物語

 

読んでいるうちに、ふらっと旅をしたくなってくる、あるいは、まるで、ヨーロッパの街を、主人公と一緒にゆったりと旅をしているような気分になってくる、そんな珠玉の紀行小説です。

母、有吉佐和子譲りのストーリーテラーとしての才能を存分に発揮し、女性読者に支持されている有吉玉青氏ですが、この作品は、美術、映画、食文化にも造詣が深い著者ならではの細部にわたる描写が冴えわたっています。

学生時代に友人たちと旅したパリを10年後にひとりで訪れ、両親の友人であるフランス人と再会して、父とフランス人の秘められた愛を知る「秋の休暇」、ベネツィアで「旅情」「カサノバ」など映画ゆかりの地を42歳の女性が旅する「ピアッツァにようこそ」、クリスマスに、ウイーン、プラハのツアーを引率する添乗員男性が、ひとりでツアーに参加している女性を気にかけながら旅を続けていく「添乗員のクリスマス」、ほかにも、ドイツ、スイス、オランダ、ハワイを舞台に旅の人間模様が繰り広げられう計7編。

「ああ、旅っていい!」小説の世界で旅の快楽に浸ることができる傑作。

 

 

 

短編集ってどこか物足りない感じがして苦手なのですが、その物足りない感じ、逆に言えば軽い感じを楽しむというのも良いのかもしれないですね。

 

 

ますますヨーロッパに行きたくなった1冊でした。