すっかり原田マハさんの作品のファンになったわたし。
これまでに読んだ「暗幕のゲルニカ」、「奇跡の人」、「楽園のカンヴァス」、「シヴェルニーの食卓」、「アノニム」、「本日は、お日柄もよく」はどれも面白かったり、すごく感動したり、ジャンルもいろいろで本当に好きな作品ばかりでした。
これまでのところでベスト3を選ぶなら「暗幕のゲルニカ」と「奇跡の人」と「本日はお日柄もよく」かなと思っていたのですが、今回読んだ「生きるぼくら」もベスト3に入れたい。
3作に絞れないくらいどれも好き。
「本日はお日柄もよく」で、それまでに読んだ作品とは系統が違うなー!と思ったのですが、「生きるぼくら」もまた違ってとってもとっても良かったです。
中学、高校と壮絶ないじめに遭って不登校、高校中退した主人公の「人生」、24歳。
小学生の頃に両親が離婚して母一人子一人の家庭で育ち、高校中退後少し働きに出てみるものの適応できずに今は引きこもってネットの世界の住人だった。
ある日母が書置きと5万円を置いて家出してしまう。
母の書置きから、母宛ての年賀状をめくって父方の祖母からのハガキに目を止める。
子供の頃大好きだった、蓼科のマーサばあちゃん。
年賀状には「余命数か月」と書かれていた。
マーサばあちゃんに会いに行くことに決めた「人生」。
そこには認知症を患っていて「人生」のことが孫だとわからないばあちゃんと、父の再婚相手の連れ子であり、血のつながらないマーサばあちゃんのもう一人の孫、つぼみがいた。
ここで暮らすことを選び、そのために仕事を探して、マーサばあちゃんを慕う人たちと出会い、ばあちゃんが大切にしてきた田んぼを守る。
「人生」の”人生”が大きく変わり、いろんな人や生物の”生きる”様がとてもあったかく気持ちよく、心をじゃぶじゃぶ洗ってくれるような作品でした。
「本日は、お日柄もよく」も手元に置いて読み返したいと思いましたが、「生きるぼくら」も何度でも読みたいなと思いました。
あと、蓼科に行きたくなります。
それから、ご飯が今まで以上に有難くて美味しくなります。